解散

例えば不祥事で甲子園を辞退する学校はある。監督の暴力が原因であれば辞任することもあるだろう。でも廃部になったという話は聞かない。


大学の運動部員が婦女暴行で訴えられ、長く対外試合を禁止されたことがあった。今はリーグ戦に復帰しているはずだ。


プロ野球選手が女児にいたずらして逮捕されたことがあった。当然当人は解雇されたが、球団は一試合たりとも中止する事なく、いまも存続している。


視聴率100%男と言われていた頃、「素人を使い捨てする冷たい男」という評があったのを覚えている。人情に欠ける、とは僕は思わない。会見での涙も、二十四時間テレビを始めた志も決して嘘ではないだろう。
ただ、思い通りにならないときにそれを切り捨ててしまえる冷酷さはやはり持ち合わせているんだな、とニュースを見ながら思った。一縷の望みを託して茨城の片田舎で働きながら練習を続ける選手の今後の見通しをたてる前に解散と言える冷酷さ。浮き沈みの激しい世界で大将と呼ばれるためには必要なものなのかもしれない。